同志社大学大学院ビジネススクール(Doshisha Business School)

同志社大学大学院ビジネススクール

2022年春より、同志社大学大学院ビジネススクール(Doshisha Business School:略称DBS)にて「中小企業経営コンサルティング」の講師を毎年務めております。

シラバス

概要

国内企業360万社のうち99.7%を占め、また国内従業者の約7割(約3,200万人)が雇用されていると言われる中小企業は生活に密着した財やサービスを一般消費者へ直接提供、あるいは大手企業が事業活動に必要とする生産財を提供するなど日常生活や日本経済において重要な役割を担っている。
ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源に総じて乏しく、昨今のコロナ禍に顕著なように外部環境の変化に大きな影響を受けがちだが前向きな意識で経営に取り組む中小企業の存続と成長を支援することは極めて重要である。
本科目は、講師のコンサルティング事例等を通じて様々な中小企業の実状を学ぶことにより,中小企業の実務的な経営診断及び助言手法を修得することを目的とする。

授業の進め方としては、多くの中小企業が直面する課題を中心としたテーマごとの講義と受講生との意見交換および受講生がグループごとに取り組むコンサルティングレポートの作成につなげる。
講義テーマは,
1) 中小企業経営コンサルティングの概要
2) 中小企業経営診断の基本的かつ実務的な進め方
3) 企業評価における2つの視点
4) 業務改善、販売営業支援
5) 管理職育成支援
6) オーナー経営者との関係づくり
7) 事業再生支援
8) 中小企業支援施策の活用
等を予定している。

本科目で使用する事例は実在する中小企業の様々な取り組みを紹介することで中小企業経営コンサルティングに対する受講生の知見を深める。
また受講生自身が所属する企業(あるいは部門)をグループごとに1社選定し、当該企業の課題や提言をまとめたコンサルティングレポートの作成を通じて、外部コンサルタント(組織内においては客観的な視点を併せ持つ主体的な行動者)として求められるスキルや考え方を高めることができる授業を目指している。

到達目標

大企業とは異なる中小企業の様々な特徴を踏まえ、
1 経営者が自社の客観視に資する経営診断ができる。
2 経営者が攻守のバランスを踏まえつつ、前向きな意思決定に資する提言ができる。 
3 中小企業経営コンサルティングに求められるスキルや考え方が理解できる。

授業計画

第1回:講義Ⅰ イントロダクション 
1
 学習目標,授業日程,授業の進め方、参考文献,評価基準等について説明する。 
2
 国内中小企業が直面する課題などについて講義及び受講生と意見交換を行う。
第2回:講義Ⅱ 中小企業経営コンサルティングの概要
創業、経営革新、脱下請け、他社との連携、M&A、日常管理運営、生産性向上、事業再生、事業承継、廃業等、企業の事業ステージや課題別におけるコンサルタントの役割について大企業コンサルティングとの違いも含め講義及び受講生と意見交換を行う。
第3回:講義Ⅲ 中小企業経営診断の基本的かつ実務的な進め方
現況確認(ヒアリング、資料確認、現場調査など)、コンサルティングレポート作成(企業概要、SWOT分析、課題、提言など)、経営者への報告会までの中小企業経営診断の基本的な進め方の講義及び受講生と意見交換を行う。
第4回:講義Ⅳ 企業評価における2つの視点
定量評価(収益性や安全性など決算書を基礎情報とする財務分析)及び定性評価(企業価値の源泉や組織が抱える課題など決算書では分からない非財務分析)について講義及び受講生と意見交換を行う。
第5回:講義Ⅴ 業務改善、販売営業支援
中小企業に対するコンサルティングは事業承継や経営革新等の大きな節目ばかりでなく、企業が日々行う事業活動における業務改善や販売営業支援も少なくない。これらの支援におけるコンサルティングの要点の講義及び受講生と意見交換を行う。
第6回:演習Ⅰ コンサルティングレポート作成
受講生自身が所属する企業(あるいは部門)をグループごとに1社選定し、当該企業の課題や提言をまとめたコンサルティングレポートの作成法について講義及び受講生と意見交換を行う。
第7回:演習Ⅱ コンサルティングレポート発表
グループごとに1社選定した受講生自身が所属する企業(あるいは部門)の課題や提言をまとめたコンサルティングレポートをグループごとに発表し、経営診断の具体性や提言の実行可能性、ヒアリングや報告を受けた側の心情などについて意見交換を行う。
第8回:演習Ⅲ コンサルティングレポート発表
実施回7の続き。本講義での講師からの助言等を参考に、実施回13及び14までに内容を見直す。
第9回:講義Ⅵ 管理職育成支援
企業が日々の業務を遂行するためには経営者の考えや企業目標などを理解し、従業員を指導、管理する管理職が極めて重要な役割を担う。継続的研修などを通じた管理職育成支援の要点の講義及び受講生と意見交換を行う。
第10回:講義Ⅶ オーナー経営者との関係づくり
万一社業に失敗した場合、家庭や全財産を失いかねず真剣に社業に取り組む中小企業オーナー経営者は個性や能力、人生観等様々であり、オーナー経営者との関係づくりはコンサルタントとして極めて重要である。オーナー経営者との関係づくりの要点の講義及び受講生と意見交換を行う。
第11回:講義Ⅷ 事業再生支援
国内中小企業は金融機関借入れを受けている企業が多く、またコロナ禍、低収益の状況のもと、事業再生案件の増加が今後見込まれる。金融機関が主たる債権者である企業を対象とする事業デューデリジェンス、再生計画策定、金融機関交渉、実行フォローの実務について講義及び受講生と意見交換を行う。
第12回:講義Ⅸ 中小企業支援施策の活用
補助金等、国や地方自治体が行う中小企業支援施策の活用は中小企業の存続や成長において大変有用であるが様々な困難も伴う。支援事例紹介も含め、中小企業支援施策の活用法について講義及び受講生と意見交換を行う。
第13回:演習Ⅳ コンサルティングレポート発表
実施回7及び8で発表し、その後見直したコンサルティングレポートをグループごとに発表。
第14回:演習Ⅴ コンサルティングレポート発表
実施回13の続き。
第15回(最終回):講義Ⅹ 経営コンサルタントの価値
これまでの授業を総括し、中小企業に対する経営コンサルタントの付加価値や存在意義、必要なスキルなどについて講義及び受講生と意見交換を行う。

日程 (基本的に毎週土曜日13:10〜16:25)

 2025年度 4/12(土)〜 6/7(土)予定

 2024年度 4/13(土)〜 6/8(土)

 2023年度 4/8(土)〜 6/3(土)

 2022年度 4/9(土)〜 6/4(土)

 

タイトルとURLをコピーしました